第25回研究会(2009年9月15日)

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2009年9月15日 第25回研究会

日時 2009年 9月15日(火) 13:00~17:40
(意見交換会 18:00~19:30)
場所 秋葉原AKSビル2F大会議室
(東京都千代田区神田練塀町3番地)

プログラム

開会挨拶(13:00~13:10)



『素粒子物理学と大型加速器』(講演 13:10~14:10)

スイスのジュネーブ近郊にある欧州素粒子物理学研究所(CERN)でまもなく本格稼動を開始する大型ハドロン衝突型加速器(LHC)は、質量の起源の謎を解くヒッグス粒子の探索など歴史に残る大発見が期待されており、さらにその先へ進むために現在世界で計画している 次世代の加速器・国際リニアコライダー計画が進行中である。これまでの素粒子物理学と宇宙論の進展について今回ノーベル物理学賞の話題を取り入れて説明する。
更に新しい素粒子物理学の幕開けへの展望、大型加速器の紹介とその果す役割、そして、情報・通信分野の「素粒子物理学と加速器」への貢献と将来への期待を述べる。

講師

山下 了
東京大学 素粒子物理国際研究センター 准教授

プロフィール

京都大学卒。1995年から6年余り欧州CERN研究所に滞在し世界最大の加速器LEPでエネルギーフロンティアにおける素粒子実験に携わる。ヒッグス粒子探索チームリーダー等を経た後、国際リニアコライダー計画に参加。現在、学生と共にLHC実験、日本の新しい大型加速器J-PARCにおける実験、加速器の開発等を研究しながら、リニアコライダー計画の推進、先端加速器のための産学連携を進めている。



『創薬における計算技術の活用』(講演 14:10~15:10)

遺伝子解析技術の発展により、医薬品の標的となる疾患関連タンパク質の同定が進んだ。医薬品開発の初期段階では、疾患関連タンパク質に作用する低分子化合物を効率よく見つけ 出すこと、見つけ出した化合物への適切な修飾により薬効を高めること、薬効が高く副作用の 少ない分子構造とすることなどが求められる。この要求に対し、計算機支援による薬物探索や薬物設計は有効な手段の一つであり、現在、多くの製薬企業が開発に取り入れている。

因みに試験管での実験(in vitro)、動物での実験(in vivo)に対し、計算機を用いたアプローチはin silicoと呼ばれる。創薬では、標的タンパク質と候補化合物を、同一の系に取り入れて、両者の結合親和性を精度良く予測し、しかもこの手続きを多量の候補化合物に対して行わなければいけないので、計算規模は膨大になる。従って演算性能の高い計算機が、医薬品開発の現場で求められている。講演では、創薬で求められる計算技術や計算機性能について、事例に基づき紹介する。

講師

星野 忠次
千葉大学大学院 薬学研究院
薬品物理化学研究室 准教授

プロフィール

1993年-1996年 早稲田大学理工学部 助手
1996年-2001年 千葉大学薬学部 講師
2001年-2006年 千葉大学大学院薬学研究院 助教授
2007年-現在 千葉大学大学院薬学研究院 准教授

疾患関連分子(主にウィルスや細菌の産生する酵素)の計算化学的解析やタンパク質の3次元構造予測法の開発など、生命科学における計算機の活用法の開拓と、これを援用した医療ならびに創薬技術の開発に従事してきた。現在の主な研究テーマは以下のとおり。


(20分間休憩)



『「PET-CT画像を用いたがん自動診断システム」の研究開発と事業化』
(講演 15:30~16:30)

横浜国立大学有澤研究室が5年間にわたり横浜市立大学医学部と共同で開発した「PET-CT 画像を用いたがん自動診断システム」の研究の手法および成果について報告し、合わせて大学発ベンチャーによる事業化の苦心談についても語る。

講師

有澤 博
横浜国立大学大学院 環境情報研究院
「社会環境と情報」部門 教授

プロフィール

昭和48年東京大学理学部物理学科卒業。富士通(株)を経て、昭和50年横浜国立大学 工学部に奉職。現在同大学大学院環境情報研究院教授。工学博士。平成3年アメリカ・ オレゴン州立大学計算機学科客員教授。

データベース理論、マルチメディアデータ ベースシステムを主研究テーマとしている。平成4年~13年IMS国際プロジェクトで情報人間工学的な視点からの作業者負荷評価システムの研究開発、平成15年よりPET-CT医療画像によるがん自動診断など、医療と情報科学のリエゾン分野での研究教育に取り組む。「大学の研究成果を直接社会に役立てる」をモットーに平成16年大学発ベンチャー(株)Realmedia Lab.を立ち上げ、現在代表取締役。



『安全・安心・便利な社会を支える指静脈認証サービスのご紹介』
(ご報告 16:30~17:30)

大規模ユーザーがアクセスするアプリケーションサービスでの本人認証手段として、強固なセキュリティとユーザー利便性を両立する生体認証への期待は高い。各分野における指静脈認証の活用事例に加えて、手ぶら決済サービス「指静脈マネー」の日立社内運営事例を紹介する。さらに、クラウドコンピューティング時代に向けた、大規模ユーザ向け指静脈認証サービスを支える新技術と、今後の展望について述べる。

講師

中西 潤
株式会社日立製作所 情報・通信グループ
セキュリティ・トレーサビリティ事業部 セキュリティソリューション本部
指静脈ソリューションセンタ 部長代理

プロフィール

1991年 日立製作所入社。2006年より、指静脈認証技術を活用したシステムやサービスの新規事業立ち上げに従事。



閉会挨拶



意見交換会 (18:00~19:30)